芸術館日記

1211-1.jpg猫もこたつで丸くなるほど寒い今日の松本。にもかかわらず、まつもと市民芸術館の新企画【パーク・トーク】に60名のお客様にお集まりいただきました。ありがとうございました。

【パーク・トーク】は、演劇、音楽、美術などの実演家(いわゆるアーティストと呼ばれる方)や評論家、あるいは社会におけるアートの役割やあり方を研究されている方などを招いて、それぞれの立場でアートについて語っていただこうという企画です。語り手の十人十色のアート観を聞いて、納得したり、反発したりしながら、自分のアート観を見つけてほしいというのが願いです。

自分のアート観。こういうと難しそうに聞こえるかも知れませんが、そんなことはありません。好きな食べものや好きな車、好きな異性のタイプを語ることはよくありますよね? それと一緒です。高校演劇に携わる高校生とお話しする機会はよくありますが、彼らも好きな食べもののことは語れるのに、好きな戯曲、好きなセリフのことになると、口が重くなります。なんだか、ものすごく大そうなことを語らないといけないような気になるんだと思います。でもそれは違う。10 代のあなたが、その戯曲の何に興味を持ったか、どのセリフに共感を覚えたか、それを語って欲しいんです。「この戯曲はこういう時代背景で書かれたから・・・」「この作家はこういう精神状態で書いたから・・・」そういうことも必要ですけど、それは知識を付けた人なら誰でも語れる。そうではなくて、10 代、あるいはあなたの生活があるからこそ、共感できることを語って欲しいんです。好きなケーキのことを語るのと一緒です。自分の味覚はチーズケーキを好きだと言っている。だからチーズケーキが好き。それと一緒です。それが十人十色の「個性」というものです。

近頃、ものごとを「善と悪」、「白と黒」、「0(ゼロ)と1(イチ)」でわけることが多いように思います。デジタル時計のようにパッとわかりやすい形にして、ものごとを判断する。けれど、ご存知のとおり、人の生活や人の心はそんな簡単に割り切れない。フラれた子のことをいつまでもクヨクヨする、そういう経験はきっと誰にもあると思います。アートだって、「誰かが言ったから」といって、決まった見方、決まった考え方があるわけではありません。「私はこの作品が好き」「私は嫌い」、そういうことがあって当たり前です。だって、作品は機械が創るわけじゃないですし、観る側だって機械が観ているわけじゃないですから。

【パーク・トーク】第一弾で登板した、串田さんは、そんなことを言っていたような気が僕にはしています。人それぞれ、アートに対しての考え方や見方、好き嫌いがある。それがあるから、様々な作品が生まれるし、様々な観客がいる。それがアートを発展させる原動力になるー。

【パーク・トーク】は今後、隔月で開催予定です。いろいろな人の考え方に触れて、自分自身のアート観に磨きをかけませんか?

(松野)