芸術館日記

 いよいよ、Noism1の公演が迫ってきました。29日、ゲネ(公演とほとんど同じ状況で行われる最終稽古)が行われたので、客席の片隅で拝見しました。

 さすが! 今更ながら、改めて、まずは振付、演出の芸術監督・金森穰さんのアイデアには驚きました。本当に引き出しが広いというか、そこ無しというか、この人の作品は毎回毎回全く違う表情をしています。今回は、せりふはないけど演劇的で、言葉以上にダンスが雄弁に語る“舞踊的演劇”。時折発せられる平穏を引き裂くようなダンサーの叫びが、客席で安穏と見ている私に襲い掛かってきました。傍観者でいることをあざ笑うかのように。


 金森作品にいつも共通するのは、私なりに感じるのは、ヴィヴィッドに浮かび上がる色彩の硬質感と、ときに見ていてこっちの体までもがバキバキしてきそうなダンサーの肉体の強さです。今回もそれは変わらず。でも、役柄としてのダンサーの無名性(どういうことかは見に来てくださいね)=世間(とでも表していいかのような)のパワーが無言の圧力かのように、メインダンサーの井関さんを取り巻きながら迫ってきます。それに対し、井関さんの、白、あるいは無色を連想させる無垢な存在感が際立ちます。

 中嶋佑一さん(artburt)の衣裳も、キッチュで、鮮やかで、ダンサーの無名性に強いキャラクターを与えていました。あれ、さっきと言っていることが逆?


 つくづく、演劇とはまた違った、ダンスというジャンルの表現の豊かさ、表現の深さを担当したのです。皆さんも、ぜひ、確認しにいらしてください。
 まつもと市民芸術館ダンス作品、今年度のトリを飾るNoism1『Nameless Poison~黒衣の僧』必見の作品ですぞ。(いまい)