2005年に『歌わせたい男たち』でまつもと市民芸術館に初登場、大好評を集めた、劇作家・永井愛の主宰する二兎社が再びやってきます。時にシニカルであったりもしますが、生き生きとしていて、ユーモアに満ちた絶品のせりふでつづられる、家族や会社などでの人間模様は、永井がもっとも得意とするところです。骨太で緻密につむがれた物語に登場する人物たちは、愛すべきキャラクターばかりで、また私たちの日常にも普通にいそう。
永井作品は、たとえば『歌わせたい男たち』が「君が代」をめぐる教師たちの葛藤を描いた物語だったように、“社会への疑問”がエッセンスになっています。とはいえ、どちらが良い悪いを声高に叫ぶものでは決してなく、立場の違いによってさまざまな考え方があることを示したものです。客席にいる私たちは、それぞれの登場人物に自由に共感しながら、笑い、冷や冷やしているうちに心のどこかで、さりげなくその問題を考えたりしてしまうのです。
ストーリー
都内に小さなイベント会社を構えた六枝りんこのもとに、東京郊外の町での「アートによる市の活性化」という地域おこし事業のプロデューサー就任という話が舞い込みます。主催する文化財団の理事長は、プロジェクトに、人々が気軽にアートに触れる中で、「郷土愛」を育むことができるようなもの、という想いを持っています。アートディレクターに起用された入川は、「生活と直結したアート」で海外でも評価を得ている造形作家。入川は市民が自由に座り、この町のあり方について忌憚なく語らう「かたりの椅子プロジェクト」と、町の歴史を市民自身がドキュメンタリーふうに演じる市民劇を提案します。しかし理事長はこれに反対、りんこはその調整に振り回されて‥‥。
りんこ役にはおなじみ竹下景子、入川役には時代劇ファンに高い人気を誇る山口馬木也を迎えます。そのほかベテランから若手までバラエティーに富んだ俳優陣がこれに取り組みます。
「観る人を“心の迷宮”へと誘う、背筋の凍る喜劇!」というキャッチフレーズにも、まさにゾクゾクしてしまいますよね!

撮影/ノニータ
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