s-%E6%96%8E%E8%97%A4%E6%AD%A9.jpgテレビドラマの脇役ながら、「どうも、あいつ気になる」と思わせる存在感を放つ、斎藤歩。最近ではテレビ「相棒」「ブラッディ・マンデイ」「BOSS」、映画「ヤッターマン」「クローズZEROⅡ」などに出演している。その一方で、北海道札幌を拠点とする、TPS(シアタープロジェクト・さっぽろ)を率い、脚本や演出も手がけるこだわりの演劇人でもあるのです。2月27日、当館でも代表作『春の夜想曲(ノクターン)~菖蒲池の団欒』でやってきます。決して込み入った展開を見せるわけではないのに、観客には心に深~~く染み入る温かみある観劇後感を持つ作品が特徴です。


札幌を拠点に活動し、東京はもちろん全国、また海外へ作品を発信するという作業のなかで、いちばん斎藤さんが意識されていること、大事にされていることはどんなことでしょうか。
  「札幌独特の空気だとおもいます。東京で芝居を創るとこういう根本的な呑気さが漂うものは産まれないと思うのですね。なので、創作するとき、札幌に居られることを思い切り楽しんで創ります。東京や北海道以外の地域から札幌に来た人たちと創るときも、本当に北海道でしか味わえないものを毎日食べるとか、北海道でしかやれない遊びを毎日やるとか、そんなことばかり考えて創っています。そしてそれを発信する際、全国や海外の人たちがうらやむ生き方のようなものが見えれば嬉しいです。」

地元に根付いた作品(物語の設定とか、地元アーティストのコラボなど)と、ふへん性という両方を成り立たせるのは難しいことと思いますが、そのバランスは斎藤さんの中での重要度などはいかがですか?
 「とても重要だと思っています。札幌だけでやっていると、客観的に札幌のことが見えなくなってしまうんですね。それは、札幌の魅力のようなものをも見えなくしてしまい、経済に疲弊して行くばかりになってしまいがちなんです。そういうもったいない札幌の演劇人も多いので、私は時々外部から札幌を観られるポジションに自分を置こうとして、いろいろなところへ出かけて行き、さまざまな人と仕事をするようにして来たんだと思います。」

『春の夜想曲』は、韓国公演、あるいは日本各地で公演されていますが、ご自身では、作品の魅力をどんなところに感じていらっしゃいますか?
 「まず東京から参加した金沢碧さんの存在、そして35年前に東京から札幌に移り住んだ土田英順さん(チェロ)の存在、お二人とも我々の大先輩で、そんなお二人がまだ若いTPSの連中に違和感なく溶け込んで下さっていることで、外部から札幌を見る異なる二つの視点が担保されています。それと、札幌の春、雪解けころの風情って、雪国の春というより、やはり札幌の春という独特のものがあるんですね。それが、この作品には満載なんだと思います。それは具体的に何かと問われれば、少し困るんですが、芝居を見て、劇中の音楽を聴いていただければお解りになるのではないかと思います。」

斎藤さんが戯曲を書かれるときに、その題材となるものはどのようなところから生み出されるのでしょうか。たとえば『春の夜想曲』の場合はいかがでしょうか?
 「やはり、人ですね。誰とやるのか。それによってイメージする人間関係とか場面が決まってくると思います。今回の場合、土田英順さんがやりたいと言って下さって、土田英順さんのチェロと伊藤珠貴さんのピアノ、そしてTPSの劇団員たちで全く違う話を書いていました。「俳句を詠む貴婦人と、風流を愛する和装の紳士が、池のほとりで句会を催す」そんな話で、台本も用意し、試験的な稽古もやっていました。ところが、本稽古直前になって、金沢碧さんも出演させてほしいわ、とか仰るので、全てをチャラにして、今回のような話になってしまったのです。」

お芝居と音楽の関係性がとても素敵なお芝居だとうかがっております。曲の選び方などはどのようにされているのですか?
 「ここ数年は、すべて劇中で使用する曲を、作曲しています。著作権の問題もあるのですが、演劇に音楽が重要であることは皆わかっていることなのに、それを既成のCDからチョイと選んで劇場に流すということに、とても抵抗があるのです。最近は自分たちで苦労して、音楽を創り、音楽を生で舞台上で演奏して劇音楽として構成することを楽しんでいます。」

地方で演劇をやっていくのに、いちばん大切なのはなんだと考えていらっしゃいますか?
 「地方でも東京でも同じだと思うのですが、自分がどこにいて、何をしているのか、そのことを自分自身の判断で選んでいるのかどうかだと思っています。」