更新日 2007/06/05

信州の味(あじ)な話

献立の話

山笑うの話、覚えているでしょうか。日本の四季の情景を現す美しい言葉ですね。
献立を作るときには、こんな四季の移り変わりに着目して主題を決めます。例えば、お節句、正月・ひな祭り・端午の節句・七夕・重陽の節句。すべて奇数の重なった日です。日本では奇数を陽の数字としておめでたい日にしています。
例えば、俳句の季語から、テーマを決め、旬や走りの食材を念頭に色々な調理法を考え、季節感を大事に、色や風景に気を使いながらひとつの献立を構成します。

そして、献立を一応書きます。それからが大変な作業になっていきます。今度は、一品一品頭の中でイメージしながら、削ぎ落とす作業です。余分な飾りや不釣合いな材料を取り除き、全体のバランスを考え考え抜き仮決定します。

そうすると、料理人の前に貼り出し、それぞれ作業にかかりますが、今度は他人の手が入るので、言っている事と大きさが違ったり形が違ったり。それを調整するのですが、献立に書いてあるじゃんとか言って素直に直さない奴がいたり、今までこうやって来たと主張する奴がいたり。昔なら、頭をこつんとやってやらせれば良かったのが、パワーハラスメントとか言う、徒弟制度に似つかわしくない罰則ができ、(本当は関係ないのだが)やりにくくなりました。

とにかく、今度は、分担が決まるので自分の分担食材を増やそうとするんですね、料理を飾るために。で、ここでも削る作業が必要になってくる。例えば、箸置きに桜の枝が置いてある。吸い物に百合根で作った桜の花びら、煮物に桜葉蒸し、桜長芋があったとしましょう。よくありがちな献立なんですよ。しつこくありませんか。

ひそやかに表現する、イメージしてもらう。そういう不必要なものをそぎ落とした。たおやかでやさしいが日本刀のようにシャープな献立を作り上げたいわたしです。
あの、料理を作っているときは真剣なんですよ。

プロフィール
座間昭光(ざま・あきみつ)
1953年、松本市島立生まれ。小中高と松本、大学は東京で工業化学専攻。現在、松本において「(有)草菴」オーナー。「草菴」・「天神」・「井Say」・「楽天S味な安曇野」の四店舗経営中。松本調理師製菓師専門学校講師。

バックナンバー
  1. 酒の話2007/05/15
  2. 山笑う季節2007/05/22
  3. 蕎麦の話2007/05/29
  4. 献立の話2007/06/05

連載記事一覧

最終更新日 2007/11/10
最終更新日 2007/11/14
最終更新日 2007/11/15
最終更新日 2007/11/12

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