更新日 2007/06/11

美術館でお昼寝を−安曇野ちひろ美術館のおいしい時間−

美術館で芝居をやるぞ!
-松川村版『グリム・グリム・グリム』ができるまで

grimm.JPG「まつもと市民芸術館で、出前公演をするみたいよ。その試演会があるので行ってみる?」昨年秋、私も運良くその試演を見に行く機会に恵まれました。

それが、『グリム・グリム・グリム』。
舞台装置は極めてシンプル、役者さんは2名だけ(しかも串田和美館長と内田紳一郎さん!)。劇場を飛び出して、もっともっと、人々のそばに芝居を届けたい、という芸術館の想いにも、とても共感できる。
私のなかの、元演劇部魂がうずきました。「美術館で、芝居をしたい!」

紆余曲折があった後、松川村公民館から、嬉しい話が飛び込んできました。
村の小学生対象の公民館講座「わんぱく探偵団」担当で、やはり秋の「グリム」試演を見ていた公民館のOさんから、「美術館とわんぱく探偵団で「グリム・グリム・グリム」を松川村に呼ぼう!」という熱烈なラブコールが!
この「わんぱく探偵団」をはじめ、松川村の子どもたちとの活動を、大切な教育普及活動として行なってきた美術館としても、願ってもない話でした。

こうなったら、話は早い。
松川村公民館、安曇野ちひろ美術館、まつもと市民芸術館の三者が主催となり、開催に向けて動きだしました。

「わんぱく探偵団の子どもたちには、演劇鑑賞だけでなく、スタッフとして演劇を作り上げる行程を経験させたい。」というOさんの提案のもと、様々なかたちで子どもたちが芝居作りに関わりました。
子どもたちによるチラシ、ポスター、チケット作り(これが、ひとつとして同じものがない傑作揃い!)や芸術館スタッフによる講習会、公演当日には、役者さんとスタッフ用のお昼のカレーライス作り、本番までの準備段階のビデオ撮影、お客様に渡すチラシ折込み作業、客入れのご挨拶など、「わんぱく」たちのお仕事は盛りだくさん。
朝早くから夕方の公演本番まで、小学生にはなかなかハードな一日でしたが、演劇鑑賞だけでは得られない、芝居作りの醍醐味のほんの一部でも、体験できたのではないでしょうか。

美術館は、普段は「静」の場所です。
作品に囲まれて、普段とは少し違う時間をゆっくりと過ごすなかで、静かに自分自身に向き合ったり、気持ちをリセットしたりする方が多いようです。
でも時にはこうやって、お芝居のような、「生」で「動」の感動を共有できる場にだってなるのです。

そしてどちらの場でも、共通点は、「本物が目の前にあること」。

劇場にも、美術館にも、自ら足を運び、自分の五感を存分に使って「本物」を楽しむ。
子どもの頃からその楽しみ方を体験していれば、きっといつの日か大人になった時に、戻って来てくれるはずです。劇場にも、美術館にも。

さて、松川村の「わんぱく」たち。(この子たちも、「本物」のわんぱくでした。)
20年後には、役者になってるか、絵描きになってるか、はたまた芸術館スタッフか?美術館スタッフか?……乞うご期待。

写真:『グリム・グリム・グリム』出演者とまつかわ村わんぱく探偵団

プロフィール
松澤理佳(まつざわ・りか)
長野県生まれ。小学校1年生より松本で育つ。信州大学経済学部卒業後、一般企業に勤めたあと、1997年3月より安曇野ちひろ美術館に勤務。趣味は旅に出ること、特技はおいしい物、おいしいお酒にありつくこと。

バックナンバー
  1. 美術館って、どんなとこ?2007/05/21
  2. 27歳の頃―ちひろと松本2007/05/28
  3. おいしい美術館2007/06/04
  4. 美術館で芝居をやるぞ!
    -松川村版『グリム・グリム・グリム』ができるまで
    2007/06/11

連載記事一覧

最終更新日 2007/11/10
最終更新日 2007/11/14
最終更新日 2007/11/15
最終更新日 2007/11/12

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