更新日 2007/06/13

人生を演じきる

初湯千両と猿田彦神社

今年の正月、毎年恒例の年越しパーティーに参加する為、故郷の高知に帰省しました。昨年友人が結婚したこともあり、「これが最後かもね。」と、幼なじみが集まって日本酒片手に語り合う、とても素敵な会でした。

年が明け初詣に向かう途中、川沿いの温泉に、「朝4時から営業」の看板を見つけた僕は「粋な江戸っ子には、初湯千両って言葉がある、元旦の初湯にはたとえ千両払ってでも入れって事だ。ここに初湯がある。お前らは粋か?」と力説し、僕達は勿論粋なので初湯することにしたのでした。

しかしまだ午前1時過ぎ、僕らは市内の神社巡りをし、その中に天照大御神や天宇受売命と猿田彦を祭っているものを見つけました。

天宇受売命は、天の岩戸のお話に出てくる大先輩です。須佐之男命の蛮行が頭にきた天照大御神は洞窟の入口を岩で閉ざし身を隠してしまいます。天照大御神は太陽神ですから世界が真っ暗になり、困った神々が岩戸の前で説得しますが天照大御神は出てきません。神々は一計を案じ、岩戸の前で宴を始める…。この席で踊ったのが天宇受売命、彼女が日本最初の役者だと、日本演劇史では勉強します。そして彼女を躍らせたのが猿田彦。

猿田彦は演劇の神様と書いてあったので、社務所に向かい巫女さんに「猿田彦のお守りか、御札を下さい」というと、神主さんを呼んできてくれ「伊勢神宮で扱っているものです」といって御札と、猿田彦神社の境内の砂を分けてくれました。この御札は大切に楽屋に置いてあります。

初湯には結局徹夜して行きました。機会があれば試してください、確かに千両の価値はあるかも知れません。眼下に広がる鏡川に昇る初日の出に沢山願い事をしたけれど、演劇に関する事は、値千金の初湯の力か、猿田彦神社の力か、ご利益があったようです。

そういえば松本に着いた日、車で市内を走っていると、猿田彦神社を目にしました。近いうちにご挨拶に行こうと思っています。

プロフィール
細川貴司(ほそかわ・たかし)
1981年高知県生まれ。日本大学芸術学部演劇学科(演技コース)卒業。大学入学時に観たワークショップ公演『にぎやかなゆりかご』(串田和美演出)に感銘を受け、在学中より串田和美に師事。大学卒業後、『コーカサスの白墨の輪』『アルルの女』に出演。2007年4月から松本に移住し、まつもと市民芸術館トライアウト公演『田舎奇談』に出演。次回作は7月の同館トライアウト公演『罪と罰』。

バックナンバー
  1. 初湯千両と猿田彦神社2007/06/13
  2. 名刺と俳優2007/06/20
  3. コーヒーミルと親友の娘2007/06/27
  4. 土佐てんと親孝行2007/07/04

連載記事一覧

最終更新日 2007/11/10
最終更新日 2007/11/14
最終更新日 2007/11/15
最終更新日 2007/11/12

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