更新日 2007/08/13

Space雑考

「地」というスペース

ことの発端は昨年11月の公演だった。まつもと市民芸術館の小芝居『グリム・グリム・グリム』。誰もが知っている、あの童話がミニマムな舞台になった。

ちょうどその頃読んでいた中沢新一の著書、『人類最古の哲学』でグリムの不思議な世界を知った。→何というタイムリーさ。これは観なきゃ!

グリム童話は伝承民話を19世紀に編纂したものだけど、ソースは古いもので神話時代にまで遡る知的遺産らしい。

詳しいことは本書と近著『芸術人類学』に譲るとして、神話ではダイナミックなねじれ、ひっくり返り、飛躍がしょっちゅう起こり、その思考が芸術も生み出したという。

神話と芸術は兄弟だったんだ。合理にゆさぶりをかける非合理は発見的思考の源泉なんですね。

グリムを観劇し即、美術館で是非!とオファーした次第です。

そして8月25日の夕方、「美術館がシアターになる!」という夢が実現します。サイトウ・キネン出前コンサートとジョイントです。

先日、芸術館の串田和美館長が美術館を下見し、会場を芝生の中庭に決定しました。芝居(芝に座るから芝居)と音楽で、どんなスペースに変身するか楽しみです。皆さんも是非お出かけください。(詳しくは松本市美術館・HPで)

これまで、主人公を引立てる背景や脇役に愛着を感じレポートしてきました。デザインでは主人公を「図」、背景を「地」といいますが、何といってもさりげなく、やわらかい「地」が素適です。異なるものの間をとりもつ「地」…、多分それは神話的思考にも通じるでしょう。

都市のなかの、建物のなかの、心のなかの、とっておきの、言葉にならぬSpace。

拙文におつき合いいただき、ありがとうございました。

写真上:美術館で夕涼み!(7/28)
写真下:草間彌生の野外彫刻『幻の華』

プロフィール
大石幹也(おおいし・かんや)
松本市美術館でマネージメントを担当。1956年松本生まれ。大学で都市と建築をかじり81年松本市役所入所。2004年11月から現職。自称建築フェチ。美術館を小さな街として捉え、静かな賑わいづくりを目論んでいる。

バックナンバー
  1. ホワイトスペースは美味しく2007/07/23
  2. 思いがけない出逢い2007/07/30
  3. アヴァンギャルドな住まい2007/08/06
  4. 「地」というスペース2007/08/13

連載記事一覧

最終更新日 2007/11/10
最終更新日 2007/11/14
最終更新日 2007/11/15
最終更新日 2007/11/12

過去の連載記事

月別アーカイブ