更新日 2007/11/08

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pure

人間の耳は、通常20Hzから20000Hz程度の音を感じることができますが、ある1つの周波数だけの音は自然界には存在しません。

何かの音を聞いた時、普通それはいくつもの帯域の音の集合としてあります。でもPCを使うと、極めて容易に純粋な音の構築が可能になったのです。PC以前にも、例えば1kHzの音だけを人工的に作り出すような事はできましたが、その音の編集能力はPCによって、それ以前とは比較にならないほど高まりました。

映像に関しても、同じような事がいえます。例えば「A」という文字をどこかに投影したいと思った場合,それまではまず「A」を何かに書き出して、それを撮影してから投影をしていた。

ところが、PCはディスプレーを持ち、あるいは外部モニターやビデオプロジェクターと繋がる事で、任意の形象を自在に映し出す事が可能になった。しかもそれは、一度も物質としてはこの世界に存在しないままにそこに映し出されることができる。

それらの音や映像は、もともと事象としては世界にあったモノですが、PCの進化と共に、スピーカーやプロジェクターがデジタルに対応して行く事で、実は今ではまったく別のモノに変容しています。

そして、その音や映像は、かつて無かった精度でコンピューターを中心に結びついています。これは当然の事で、コンピューターの中では、音も映像もそれ以外の何であろうが、扱っているのは0と1の2値
の集合でしかなく、しかもその処理は、ヒトの想像を超えた速さで行われているからです。

最初の「次は、どんな新しい事が起こるの?」という質問の答えは、僕は「速さ」と「正確さ」だと考えています。基本的に舞台での事なのですが、何かが確かにそこに有り、その場その時に起こっているという感覚は、速度/精度に支配されていて、僕たちはまだまだその点におけるコンピューターの限界にまで行き着いてはいない。

『Refined Colors』で使っているLED照明が、非常に面白いのもその点です。コンピューターの表示装置とまったく同じ原理で、光/色をジェネレートするこの照明器具は、PC内部に近い速さで動きヒトの視覚を刺激します。また、RGBによる色表現の自由度の高さも、今までの照明器具に比べて格段に高い。LED照明は、ようやく手にしたデジタルな光の装置だといえるのです。

プロフィール
藤本隆行(ふじもと・たかゆき)
1987年、ダムタイプに参加。照明並びにテクニカル・マネージメントを担当。また近年は、ギターリスト内橋和久+UAとのインスタレーション/コンサート「path」や、11月に松本市でも公演する「Refined Colors」、白井剛(発条ト)や川口隆夫(ダムタイプ)等と共に作った最新作「true」で、多様なアーティストで編成されたテクニカルチームを率いて、LED照明デザインを特徴とする作品制作を試みている。

バックナンバー
  1. PC2007/10/04
  2. digital2007/10/11
  3. communication2007/10/18
  4. unit2007/10/25
  5. development2007/11/01
  6. pure2007/11/08

連載記事一覧

最終更新日 2007/11/10
最終更新日 2007/11/14
最終更新日 2007/11/15
最終更新日 2007/11/12

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