あわあわ
前回、初荒通しをしてから、10日が経ちました。経ちましたが…「失踪者」の稽古をその間一度もしていません。……!というのは、今回ツアーでまつもと市民芸術館始め地方を回るのは「失踪者」なのですが、東京では、新作の「審判」と2作品交互上演なのです。「審判」の振り付けや稽古で、あっという間に10日間が過ぎ…。
2作品交互上演は稽古も交互な訳で、「失踪者」の稽古のとあるシーンでのダメ出しや反省を反芻して演技プランを練っても次の「失踪者」の稽古は10日後!それでも頭の中には、「失踪者」のことがあるので、「審判」の稽古の休憩時間や帰り道なんかに、突然「失踪者」さんがやって来て、「おい、あそこのシーンどうするんだよ」「一週間考えてそんなアイディアかいな」などと囁く訳です。あわあわ。逆の場合もまた然りです。さらにあわあわ。そわそわ。
明日は久々に「失踪者」の稽古です。身体が憶えているか不安ながら、ちょっとわくわくしてます。
さてさて。前回、昨年5月に参加させて頂いたまつもと市民芸術館制作の舞台「水の話」のことを話しましたが、その続き。
「水の話」と今回の「失踪者」には、一つ大きな共通点があります。それは…台本がない。「失踪者」はもちろん、池内紀さん訳の小説からシーンを起こしていきます。今回のプロダクションでは、昨年8月から5回ほどワークショップを行ってきました。出演決定イコール「この役をやってもらいます」ということではなく、1年のワークショップの間に役者は色々な役を経験し、演出の松本さんの芝居の創り方やイメージを共有できるようにという目的です。贅沢な創り方をさせてもらっています。
小説に書かれている膨大な量の文章・会話のどこをピックアップするか、人物描写をどのように身体で表現できるのか、…役者が何を面白いと思ってそれをいかに具体化できるかという能力が問われている訳です。今思えば、5回のワークショップはその面白がり方の方向性を摺り合わせる作業でした。
「(10分後に)何々ページからやってみて」と指示を受けると、小説を持たないで演じなくてはいけないので、必死に小説の言葉を覚えようとしてしまうのですが、重要なのはその人物の身体つきであったり、小説に書かれた奇妙な仕草であったりします。私の生理的感覚からはほど遠く、動機付けの難しい仕草でも、とりあえずやってみると、発見があったり…。普段は、感情の流れをベースに芝居を創ることが多いのですが、今回は身体をどう見せるかということからスタートです。頭でわかっていても、実際はかなりハードルは高いのですが。。。
そうそう、「水の話」も、「愛と宿命の泉」というフランス映画を基に、まつもと市民芸術館でしかできない芝居を、ということでキャストに合わせたエピソードを織り交ぜつつ、台本作りにかなり苦労した作品でした。
映画の原作からセリフをピックアップしたり、設定だけ借りて台本を創ってみたり。基本的に与えられたセリフを一字一句変えずに演じる仕事がほとんどの私には、セリフを決める責任感はかなり重かったのですが、やりがいはありました。毎日、演出家の中嶋しゅうさんと東京組の役者数人やスタッフさんと夕食兼話し合い、朝もしゅうさん行きつけの喫茶店におしかけては「こういうのはどうでしょう」といろいろ台本作りに関わらせてもらいました。
ホテル暮らしで日常の煩雑な雑事もなく、芝居のことだけ考えていられたのでホント幸せな毎日だったなと思い出します。煮詰まったら散策するところは山ほどありましたしね。美味しい空気も新旧の建物が自然に共存している町並みも、いつも考え方を前向きにしてくれました。松本に冬に行ったことがないので、今回の「失踪者」公演ツアー、ワクワクしてます。かなり冷えるとの話なので、完全防寒で行かなくちゃあ。色のない、あがたの森を散歩するのが楽しみだな。
ではでは、今回はこの辺で!
写真:まつもと市民芸術館「水の話」舞台写真(撮影/山田毅)
明日は久々に「失踪者」の稽古です。身体が憶えているか不安ながら、ちょっとわくわくしてます。
さてさて。前回、昨年5月に参加させて頂いたまつもと市民芸術館制作の舞台「水の話」のことを話しましたが、その続き。
「水の話」と今回の「失踪者」には、一つ大きな共通点があります。それは…台本がない。「失踪者」はもちろん、池内紀さん訳の小説からシーンを起こしていきます。今回のプロダクションでは、昨年8月から5回ほどワークショップを行ってきました。出演決定イコール「この役をやってもらいます」ということではなく、1年のワークショップの間に役者は色々な役を経験し、演出の松本さんの芝居の創り方やイメージを共有できるようにという目的です。贅沢な創り方をさせてもらっています。
小説に書かれている膨大な量の文章・会話のどこをピックアップするか、人物描写をどのように身体で表現できるのか、…役者が何を面白いと思ってそれをいかに具体化できるかという能力が問われている訳です。今思えば、5回のワークショップはその面白がり方の方向性を摺り合わせる作業でした。
「(10分後に)何々ページからやってみて」と指示を受けると、小説を持たないで演じなくてはいけないので、必死に小説の言葉を覚えようとしてしまうのですが、重要なのはその人物の身体つきであったり、小説に書かれた奇妙な仕草であったりします。私の生理的感覚からはほど遠く、動機付けの難しい仕草でも、とりあえずやってみると、発見があったり…。普段は、感情の流れをベースに芝居を創ることが多いのですが、今回は身体をどう見せるかということからスタートです。頭でわかっていても、実際はかなりハードルは高いのですが。。。
そうそう、「水の話」も、「愛と宿命の泉」というフランス映画を基に、まつもと市民芸術館でしかできない芝居を、ということでキャストに合わせたエピソードを織り交ぜつつ、台本作りにかなり苦労した作品でした。
映画の原作からセリフをピックアップしたり、設定だけ借りて台本を創ってみたり。基本的に与えられたセリフを一字一句変えずに演じる仕事がほとんどの私には、セリフを決める責任感はかなり重かったのですが、やりがいはありました。毎日、演出家の中嶋しゅうさんと東京組の役者数人やスタッフさんと夕食兼話し合い、朝もしゅうさん行きつけの喫茶店におしかけては「こういうのはどうでしょう」といろいろ台本作りに関わらせてもらいました。
ホテル暮らしで日常の煩雑な雑事もなく、芝居のことだけ考えていられたのでホント幸せな毎日だったなと思い出します。煮詰まったら散策するところは山ほどありましたしね。美味しい空気も新旧の建物が自然に共存している町並みも、いつも考え方を前向きにしてくれました。松本に冬に行ったことがないので、今回の「失踪者」公演ツアー、ワクワクしてます。かなり冷えるとの話なので、完全防寒で行かなくちゃあ。色のない、あがたの森を散歩するのが楽しみだな。
ではでは、今回はこの辺で!
写真:まつもと市民芸術館「水の話」舞台写真(撮影/山田毅)


