ありえない注文
それから数日後。「また造ってもらいたいものがあるんですけど」
「はい」
「荷車って造れますか?」
「は?」
昭和47年生まれの自分はリアカーくらいなら見たことはあるが、荷車となると時代劇かアルプスの少女のヤギが引いている物くらいしか頭に浮かばない。ましてや、車輪や車軸など分からない事だらけで、暖炉をつくることより難しかった。
それでも何とか形にして、稽古で使っているところを見ていると、舞台の内容や時代背景が なんとなく分かってくる。
しばらくして。
「また、お願いがあるんですけれど…」
「はぁ」この頃になると内心、少々呆れてくる。
「舟って造れますか?」
「……それは建築屋の造るものではありません」
意地悪ではなく、本当にそう思いました。
「何とかならないですかね?」
「…ちょっと時間をください」
正直、これは困りました。
この電話を受けた後、しばらく頭の中は舟の事でいっぱい。
浅間の大工棟梁の所で
「親方。舟って造れる?」
「なにー!」と怖い顔で睨まれる。
「そんなもん、美鈴湖行って拾って来い!」
「……」
Goodアイデアでした。
すぐに美鈴湖の貸しボート場へ行き、古くて処分するような舟を管理者の方に譲っていただき、舟をGet。
普段の仕事の合間、こんな難問に振りまわされながら、いよいよ芸術館での舞台制作がスタートします。
住宅専門の職人たちは戸惑いの中、初の舞台セットを造っていくのですが…。
写真:『アルルの女』の劇中に登場した“舟”(舞台上の左側。逆さまになっている)
「また、お願いがあるんですけれど…」
「はぁ」この頃になると内心、少々呆れてくる。
「舟って造れますか?」
「……それは建築屋の造るものではありません」
意地悪ではなく、本当にそう思いました。
「何とかならないですかね?」
「…ちょっと時間をください」
正直、これは困りました。
この電話を受けた後、しばらく頭の中は舟の事でいっぱい。
浅間の大工棟梁の所で
「親方。舟って造れる?」
「なにー!」と怖い顔で睨まれる。
「そんなもん、美鈴湖行って拾って来い!」
「……」
Goodアイデアでした。
すぐに美鈴湖の貸しボート場へ行き、古くて処分するような舟を管理者の方に譲っていただき、舟をGet。
普段の仕事の合間、こんな難問に振りまわされながら、いよいよ芸術館での舞台制作がスタートします。
住宅専門の職人たちは戸惑いの中、初の舞台セットを造っていくのですが…。
写真:『アルルの女』の劇中に登場した“舟”(舞台上の左側。逆さまになっている)


