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【森山開次インタビュー】 新国立劇場ダンス 森山開次『NINJA』

新国立劇場ダンス 森山開次『NINJA』
7月20日(土)、21日(日) まつもと市民芸術館 小ホール


新国立劇場「サーカス」2018年公演より

新国立劇場の開場以来、数々の作品を踊り、振り付けてきた森山開次。昨年は、子供も大人も楽しめる作品『サーカス』を再演し、劇場を異次元の夢の国にあるサーカス小屋のような空間に変えて、大いに観客を楽しませてくれた。次に森山が挑むのは『NINJA』(忍者)。世代によって思い描く忍者は異なるものだが、どこか私たちのノスタルジーとロマンをくすぐる存在でもある。そんな忍者の世界を、現代の舞台でどのように描くのか、今の思いと構想を聞いた。

インタビュアー◎稲田奈緒美(舞踊評論家)

忍者ごっこが好きだった子ども時代 一生懸命に遊んだ感覚を作品に生かしたい

――森山さんはコンテンポラリーダンスだけでなく、古典芸能やバレエとのコラボレーションからオペラの演出まで、幅広く活躍していらっしゃいますね。

森山 新国立劇場では古典の「弱法師」「翁」をベースにした作品から、独自の『曼荼羅の宇宙』など様々な作品を作らせていただきました。それが『サーカス』、『NINJYA』と、だんだん子供担当になってきました(笑)。子どものための作品を作るきっかけになったのは、NHKの『からだであそぼ』です。たまたま自分に子供ができたときにお話しをいただき、父親になるドキドキの中で作り始めたのは、そういう流れだったんでしょう。実際に子供が生まれると自分の中でも変化があり、今では娘の友達が我が家に来ると、一緒に遊ぶのが好きなんです。子供が好きなんだな、って思います。

――子供たちの反応などを作品づくりに生かしているのですか?

森山 そういう部分もありますね。一方で、子供の作品を作るときは、「子供だから飽きないように」とか「子供だからこういうタッチで」と言う考え方もありますが、よくよく子供と接していると、子供のほうが興味の幅が広くて、おどろおどろしいものが好きだったりする。僕たちも不思議な世界や、見てはならない世界を見てみたいですよね。子供たちは、まず大人の世界に興味があって、覗き込みたい、と思っているし、大人よりも発想が豊かであったりする。そこから学ぶこと、作品づくりに生かすことは多いです。

――忍者は、以前から温めていたテーマだったのですか?

森山 僕は忍者ごっこが好きで、すごく真剣にやっていました。隣町の小学生と戦うのも遊びですけど、戦うために秘密基地で忍法を習得しようとしていました(笑)。粗大ごみとして捨てられていたソファを空き地まで引っ張ってきて、トランポリン代わりにしてバク転、バク中を習得するための基地を作ったり。川べりに防空壕のような穴があって、そこに基地を作った記憶もあります。仲間たちと機械を分解して円盤状の部品を取り出し、手裏剣代わりにして練習しました。宙返りして手裏剣投げるとかね、一生懸命でした。そういう頃の感覚、外で遊びながらいろんな失敗をして、けがをしたり、蚊に食われたり、蜂に刺されたり。それを作品作りに生かしてみたいと思っています。

昆虫、動物、 そしてダンサーの個性 “忍ぶもの”の生きざまを描く

――チラシにイラストを描いていらっしゃいますが、何かイメージがあるのですか?

森山 イラストは、こういうプロジェクトのときによく描くんです。すぐにダンスの振付を始めることはできないので、まずは童心に帰ることから始めるために。スタッフとも言葉だけでなくイメージを共有できれば、方向が見えてくると思いますし。このイラストを描いた先に、ダンサーたちとからだを突き合せることで絵を超えていくものになったらいいな、と思っています。

――イラストのようなお城があったり、竜が出てきたりするのでしょうか?

森山 それはどうかなあ(笑)。今は、いろんな忍者がいたこと、伝説、言い伝えなどを改めて学んでいるところです。娘を見ていると、今の子にとっての忍者は漫画の『NARUTO―ナルトー』。一昔前だと「サスケ」や「カムイ外伝」ですね。実際の忍者がどうだったかわからないから、空想を膨らませて身体表現できるのが面白い。
忍者について考えていくと、キーワードのひとつが“忍ぶもの”なんです。“忍”という文字から空想していくと、昆虫、動物など自然界に忍んでいるものもヒントになる。昆虫であればナナフシとか、さなぎが蝶になって変化していく能力はまるで忍法のようですよね。カエルが飛んだり、アメンボが泳いだり、蛇やムササビなど自然界のいろんなものと発想がリンクしてくるんですよ。
ダンサーでいえば個々の能力や個性を引き出していくことで、忍の者の生きざまを描けたらいいなと思っています。「カムイ外伝」の白土三平の世界のように決して表に出ず、ひっそりと任務を遂行する。そこに命を懸けながら生きていくさまを。子どもたちには、生まれ持ったからだと、育っていく中で培ってきた個性を、どのように持ちながら生きていくか、最終的には生き様を感じてほしいと考えています。チラシのイラストは楽しい世界に見えますが、同時にその先にある忍者、ダンサーの生きざまをお伝えできるような作品にしたいですね。単に楽しいだけの作品ではない、大人が子供に託そうと思っていること、この時代の中でどうやって生きていくかを投げかけられればいいな、と思っています。

――ダンサー、スタッフについて教えてください。

森山 引間文佳、浅沼圭は新体操出身で、ダンスの世界でそれぞれの表現を模索しているので、この作品にはぴったり。“女”という字から“くのいち”と呼ばれますが、この作品では“くのさん”なんです(笑)。もうひとり、バレエダンサーの中村里彩が加わるので。また、元新国立劇場バレエ団の宝満直也。彼は一見静かだけど熱い情熱を持っている。僕と似ているのかな。二人で練習していると、すごく静かです(笑)。水島晃太郎は現代舞踊出身で、とても柔軟なからだを持っている。折り紙が趣味という意外性は、僕がやろうとしている忍者にあっているかな。藤村港平は、その後輩で筑波大学出身。目がキラキラして若い。これからどんどん出てくると思う。『サーカス』ではアンダーキャストとして支えてくれました。美木マサオはダンサーというより演出、振付もする身体表現に興味がある人。枝みたいに細いのですが、ダンサーとはちょっと違う役割を持ってもらえるといいかな。ただ踊るだけではない、いろんな楽しませ方をやってもらいたい。
音楽は『サーカス』と同じく川瀬浩介さん。遊び心を忘れない、センチメンタルなロマン派です。衣装は、スロームーブメントの公演で障がいのある子どもたちとの作品の衣裳を作ってくれた武田久美子さん。映像はムーチョ村松さん。今は映像でいろんなことができる時代ですが、彼は舞台上での映像の当て方にとても長けた方です。ダンサーもスタッフも、一般的な忍者とは違ったイメージを提示できる人たちです。
新国立劇場には時間をかけて稽古、創作していく環境が整っています。そうして作った作品を、より多くに人に見てもらいたいといつも思っているのですが、今回は新国立劇場で初演したあと、いわき、水戸、松本など全国7か所で上演します。忍者には各地の城があって、そこで生まれ育ち、誇りを持って生きている。各地の劇場で自分たちの城、ふるさとを感じてもらえる作品になればうれしいですね。作品はいろんな劇場で上演して、たくさんのお客さんに育てていただくもの。忍者のように、いろいろな劇場に現れますので(笑)、楽しみにしていてください。


「新国立劇場・情報誌ジ・アトレ4月号」より
舞台写真=新国立劇場「サーカス」過去公演より(撮影:鹿摩隆司)


新国立劇場ダンス 森山開次『NINJA』

【日程】2019年07月20日(土)18:00、21日(日)13:00
【会場】まつもと市民芸術館 小ホール
【チケット料金】一般:3,000円、U18:1,500円(全席指定・税込)
公演詳細 → https://www.mpac.jp/event/dance/29120.html

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