芸術監督団

ゼネラルアートアドバイザー 石丸幹二

松本との縁は深いと、一方的に感じてきました。
これまで何度となく上演された「兵士の物語」「空中キャバレー」に参加し、観客の皆さんと分かち合った空間、時間は、楽しかったし、いつもワクワクしていました。

ホテルから劇場まで自転車で通ったのも良い思い出。
さわやかな風を感じながら、気持ちよくペダルをこいでいると、通りの人たちが声をかけてくれたものです。
「おはようございます!」「観に行きますね」
私はもう、街の一員の気分でした。

偶然にも、松本で映画の撮影をすることになり、劇場の住人だった私が、外に飛び出したことも。
澄みきった空気、清らかな水の流れ、雄大なアルプスの風景、瑞々しい野菜、歴史ある木造の学舎、西洋の香り漂う小さな建築物たち、そして、松本城や温泉などの観光資源。
「松本って、なんて広くて大きいんだ」と感動したものです。

そんな松本との縁が、串田さんの退任と共にふっつりとなくなってしまうのか、と寂しく感じていたころ、驚くべき申し出が届きました。
私が芸術監督!?
芸術を生み出していくなんて、ない、ない、ない、ない、ない。
私は一人のパフォーマー、表現をすることが仕事で、心と体を通して、客席とのコミュニケーションを楽しむ存在。

芸術館の皆さんと話し合っていくうちに、心が拓いていくのを感じました。
新たな芸術監督団は、松本の人たちとの心と心の対話をもとに、もっともっと「ひらいていこう」と。
私のなかに色々な想いが沸き上がってきました。

松本への誇りを胸に、劇場やコンサート会場などの文化施設に目いっぱいお世話になりながら、市民の皆さんと、笑顔を交わし、心を通わせ、「こんな楽しいことをやっているんだ」と思ってもらえる芸術団。
「津々浦々、こんな素晴らしさが潜んでいる街なんだ」と世間にPRしていくゼネラルアートアドバイザー。

そんな石丸幹二でありたいと思っています。

プロフィール

写真:ゼネラルアートアドバイザー 石丸幹二

俳優、歌手。1965年、愛媛県生まれ。
東京音楽大学音楽学部器楽科にてサックスを、東京藝術大学音楽学部にて声楽を学ぶ。東京藝大在学中の1990年、ミュージカル『オペラ座の怪人』ラウル子爵役で劇団四季にてデビュー。看板俳優として活動を続け、2007年退団。以降、舞台のみならず、映像、音楽分野でも幅広く活動する。近年の主な作品: 舞台/ 「ハリー・ポッターと呪いの子」「ジキル&ハイド」「ラグタイム」「パレード」等。映像/ 音楽番組「題名のない音楽会」(司会)、情報番組「健康カプセル!ゲンキの時間」(司会)、映画「太陽とボレロ」(松本で撮影)、映画「ドラえもん」(吹替)、「仮面ライダー ガッチャード」「青天を衝け」「相棒」「半沢直樹」等。音楽/ オーケストラ・コンサート、クリスマス・ディナーショー等。まつもと市民芸術館では「空中キャバレー」や「兵士の物語」などの作品に参加し、歌手としてコンサートも開催している。